読書メモ:「LIFE SHIFT」/リンダ・グラットン

生き方に惑うアラサー 

終身雇用、年功序列といった従来の働き方が終わる、という警告があふれる昨今。AI失職が叫ばれる事務職アラサーにとっては不安しかないけれど、誰かが正解を教えてくれるわけでもない。話題の本でも読んで考え方を広げていきたいですね。

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

概要

長寿化による「人生100年時代」の到来で従来の教育〜労働〜引退の3ステージ型の人生モデルが崩壊しつつある。現在起きている変化とこれから起こる変化の予測について具体的なシナリオも交えて考察されている。

 

職業構造の転換

1910年、アメリカの働き手の3人に1人は、農家もしくは農業労働者だった。今日、これらの職に就く人は全体の1%にすぎない。


現代の情報テクノロジーの進歩に伴う構造転換は上記の時代より急速に進むとみてよさそう。と考えると自分は60で引退するような生き方を選ぶのは厳しいと見ておくべきかもしれない。


ギグ・エコノミー

人生の一時期に組織に雇われずに働く選択肢も現実味をもってくる。…テクノロジーの進化により情報のコストが下がった結果、買い手と売り手が互いを見つけやすくなり、独立した情報源から相手の信頼性と品質を判断しやすくもなったのだ。


情報系出身で既にこれに近い働き方をしている人も多そう。

 

管理部門は中スキル職

1979年以降、低スキルの職と高スキルの職は増えているが、中スキルの職は減っている。スキルのレベルで見ると、労働市場の中央に大きな穴が空いているのだ。中程度の雇用が空洞化しているのである。


ここでいう「中スキル」には事務・管理部門が含まれている。

 

無形資産

無形の資産は、撤回可能性も代替可能性もない。外国に移り住むとき、それまでの友だちを売って、移住先で新しい友だちを買うことは不可能だ。自分のスキルの価値が落ちてきたとしても、そのスキルを売り、別のスキルを買うわけにはいかない。

 

変身資産

100年ライフを生きる人たちは、その過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げることになる。そのために必要な資産が変身資産だ。自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていることなどが含まれる。


無形資産の分類として、生産性資産(生産性を高めるスキル等)、活力資産(健康や友人関係)、そして変身資産が挙げられる。しかしその要素については自分が今手にしているとは言い難い…

 

評判

人々は、どのように他人の評判を形づくるのか? 評判は、所属によって決まる面もある。…ただし、最初のうちは所属集団の効果が大きいが、次第に本人の行動に対する評価が評判を左右するようになる。意図や行動原則を表明することで人々に期待をもたせることはできるが、評判を確かなものにするのは、基本的には実際の行動なのだ。…キャリアを通して多くのステージと多くの移行を経験する時代には、評判を左右する情報の量が必然的にもっと多くなる。加えて、ソーシャルメディアにより、個人の印象や価値に関する情報が拡散されやすくなり、誰かの行動をチェックすることも簡単になる。したがって、職業上の行動だけでなく、幅広い領域で自分のブランドと評判を管理しなくてはならなくなる。


新しい働き方を念頭に置くなら、評判という無形資産は重視すべき事項。企業の採用活動では所属をよく見ていることが多いけれど、いずれ同じ流れになっていくと思われる。
そして「社内での評判」は外に持ち出すことは出来るのか?出来ないのであれば、個人の評判のうち、会社の外で行う活動(たとえ当人が趣味程度に思っていても)は移行を経験する時かなり大きい比重を占めるのではないか。

 

生産性

どのように知識を習得し、どのくらい生産性を発揮できるかは、ほかの人の影響を受けて決まる面が大きい。生産性を高めるためには、チームとしての取り組みが必要とされるのだ。 大きな経済的価値を生む複雑な課題を実行するプロセスではたいてい、ほかの人たちとの相互依存関係が不可欠だ。


自分の能力は自分のなかの要素だけで決まるものではない。

 

人的ネットワーク

おそらく、職探しで重要なのは、無形の資産のなかでも知識だと思う人が多いだろう。しかし、マーク・グラノヴェターの説得力ある研究によれば、重要なのは人的ネットワークだ。なにを知っているかではなく、誰を知っているかが大切だというのだ。


人の繋がりを大事にしたい。また、親密な友人よりも「友達の友達」くらいの距離感から以外と有益な情報が得られるとも。

 

自己効力感と自己主体感

未来に向けて適切な行動を取ろうと思うためには、前章で取り上げた「ありうる自己像」について考えることが有効な手立てになりうる。それは、自己効力感(自分ならできる、という認識)および自己主体感(みずから取り組む、という認識)と結びついている場合にとくに効果が大きい。


自己効力感と自己主体感。

 

評判の確立

インディペンデント・プロデューサーの主たる関心事は、ものごとを生み出すこと、そしてそれを通じて、障害を克服できる行動指向の人物という評判を確立することだ。この時期に獲得する評判は、将来に経験するステージで貴重な無形の資産になる場合もある。


ギグ・エコノミーのところの話とつながる。SNSで自分自身のことをよく発信している人はこういったことを意識しているのだろう。

 

仕事の融通性

・時間のプレッシャーが厳しい仕事に就くか?
・勤務時間をあまり自由に決められない仕事に就くか?
・スケジュール変更に柔軟に対応しなくてはならない仕事に就くか?
・チームのメンバーとつねに一緒にいなくてはならない仕事に就くか?
・自分にしか担当できず、ほかの人に代わってもらえない仕事に就くか?
これらの問いの答えがイエスの仕事は、高給の職であり、現状では女性(とくに子どもがいる女性)より男性が就くことが多い。ひとことで言えば、これらの仕事の特徴は柔軟性の乏しさにある。

 

フレキシビリティ・スティグマ

家庭に関する理由で労働時間を減らした男性は、所得が減り、将来のキャリアの機会が狭まる。いわゆる「柔軟性の烙印(フレキシビリティ・スティグマ)」を押される。


柔軟な働き方を選びたい一方、時代が変わらない限りこういった恐怖はつきまとう。

 

まとめ

長寿化の進行により人生プランは変わらざるを得ないが、企業が対応しているとはまだ言えない状態。じぶんがおっさんになった時に、「変身資産」が枯渇した状態で移行を経験することができるか?どのような選択をするとしても、自分のことをよく知り、無形資産に目を向けるようにすることがその準備になりうると思う。